序章

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幼い頃から父の暴力が酷く、父の顔色を見ながらの生活が続いていた 父は営業の仕事の疲れか、外では笑顔でお客さんに好かれていたが、一歩家に入ると人が変わったようになる 「なんだその目は!」 怒声と同時に体に走る痛みと衝撃 私の体は軽々と吹き飛び、すぐに髪の毛を鷲掴みされる 「親に向かってなんだその目は!」 癇癪を起こした父の耳には声は届かない 悔し涙がポロポロと頬を流れていく 痛みと涙の熱さがじんじんと鳴り響き、ただただ堪える 私は貝のように口を閉ざし嵐が去るのを待つしかなかった 嵐が去ったあと父がどこかへ出かけると、隠れていたお母さん寄ってきて必ず言う言葉があった 「ごめんね、友ちゃん…ごめんね」 泣いているのだろうか? 謝るくらいなら 何故 何故、この人は私を助けてくれないのだろう
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