11人が本棚に入れています
本棚に追加
「言っとくけど、赤の他人である俺を巻き込むのは止してくれよ?」
「そん……な」
女は立てている頭からちょこんと出ている三角形の耳を伏せ、悲しさを表現しているようだった。
「あなたの腕を見込んで御願いします!!村を救ってください!!」
「話聞いてた?俺は関わりたくないって言ってんの」
尻尾を縮こませて震えながら土下座をする垂れ耳の男にそう告げた俺は、荷物を纏め始める。
「村に、村に獣亜人を率いる盗賊が攻めてきました……」
男は構わず続ける。
「盗賊の大きさは大規模で、私達は逃げるのが精一杯でした」
「逃げたのに、見捨てたのに助けろなんて話が良すぎじゃん」
「しかし……ひっぐ」
男は、知らぬ間に泣いているようで、俺はそんな光景をずっと見て楽しむようなサドじゃないため、さっさと纏めた荷物を背負った。
その時
「あの村は、獣人や亜人なんかが人間達と力を合わせて切り盛りしてた場所なんですっ……あそこが無くなると人間達と亜人達との間に亀裂が入ってしまうんです……ひっぐ、御願いします……うぅ」
なんだって!?
最初のコメントを投稿しよう!