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ヨロヨロと歩いてその場所へと向かう俺。
「桜庭クン……綾芽ちゃんが……」
それは見ていられないような痛々しい光景。
顔半分に激しい火傷、左腕、足にまでも火傷の跡があり、黒く焼け焦げていた。
それでも辛うじて意識を保っている水無瀬は、体を酷く震わせながら助けを求めるように俺を見る。
「あ……あぁ……」
俺はその痛々しい姿を見ていられずに振り返って教室の中にいる莉央を確認した。
見るまでもない事はわかっていた。
教室の中には黒こげになった『かつて莉央だった肉の塊』が転がっていた。
その体からは僅かに煙が上っている。
「桜庭クン……どうすれば……」
どんな状況になっても耐えられると思っていた。
だがさすがに俺ですらこの最悪な光景に目を瞑りたくなる。
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