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こんなに激しい火傷を生で見るのは初めてであり、これほど重度の状態でどういう処置をすればいいのかを俺は知らない。
「冷やすぞ、手を貸せ」
「う、うん」
火傷をした場合、一番最初にするべき事は患部を冷やす事。
顔、腕、足にまで熱傷を負っている水無瀬。
一目で長くはもたないというのがわかる。
それでも俺たちは諦めず、タオルに水を含ませて患部に当てがった。
「おい水無瀬、聞こえるか?」
ベッドの上で震える水無瀬の元に腰を下ろして話しかける。
水無瀬は涙目で俺の目を見た。
その口が僅かに開き、か細い声を絞り出す。
「わ……わ、わた……私……し、死ぬ……んだ……よね……」
悠路の最期を思い出した。
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