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「そうだよ綾芽ちゃん!諦めちゃダメ!絶対生きるんだよ!生きてここから出るんだよ!」
費える寸前の命の灯火がか細く揺れている。
「さ、寒い……寒い……よ……」
熱傷により熱を帯びているはずなのに彼女は寒いと体を震わせた。
間違いなく死がすぐ近くまで忍び寄っている。
「……バチが……あ、当たったんだ……。みん、みん……なを……騙した……バチが……」
「水無瀬、一つ聞かせろ。あいつは、莉央は一樹についていったんだな?」
水無瀬の目から溢れ出る涙。
濡れた目で俺の事を見て譫言のように呟く。
「ごめ……んね……ごめんね……」
それだけでもう十分だった。
あの時トイレで何が起きたのかを知るにはそれだけで十分。
「もう喋るな。お前はただ生きる事だけを考えろ」
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