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しかしそれでも俺の中には確かに良心という物が僅かながらに燻っているのを知っている。
じゃなきゃ俺が悠路に惹かれる訳がないのだ。
ここにいる人間は俺にとっては特別ではないが、恨みを持っている人間でもない。
出来る事なら多くの人間を救うべきだ。
ただ、『救い』とはその人にとってそれぞれ違うもの。
水無瀬にとっての救いはどちらなのか、それは本人にしかわからない。
安息の死か、苦痛の生か。
これは情ではなく、俺の中に生まれた一つの信念。
辿るべき道なのだ。
俺にしか出来ない事。
「……ろして……」
「え……?綾芽ちゃん……今……なんて……」
小さな声で俺に向かって囁いた少女。
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