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残り時間は三十分を切って、いよいよ命の期限がすぐそこまで迫っている事に恐怖するアタシ。
体が震え始めるのを強引に抑え込んで自分自身に言い聞かせる。
「落ち着け……落ち着けアタシ……大丈夫……生きて帰れる……必ず……生きて帰れるから……」
大きく深呼吸を繰り返し、恐怖を頭の隅へと追いやった後、アタシはさっきの疑問の答えを模索し始めた。
どうして銃声が鳴ったのか。
誰かと戦ったのか、あるいは桜庭桐斗か大柴芽依が裏切ったのかもしれない。
さすがに水無瀬綾芽という事はないだろう。
まともに動けない程の重傷を負ってる水無瀬綾芽が……。
「いや……もしかして……」
背筋に寒気が駆け抜けていった。
『死にかけている水無瀬綾芽を不憫に思った二人が、彼女の息の根を止めた』という可能性もあるんじゃないのか。
そうだとしたらアタシはそれ以外の誰かを殺さなくてはならない。
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