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とっくに死んでいてもおかしくない、そんな弱々しい存在。
そんな大柴が今こうしてここにいられるのはまさに奇跡的であった。
「どうして私たちがこんな目に……こんな酷い目に遭わなきゃならないの……?どうして神様はこんな酷い仕打ちをするの……?」
大柴の嘆きは最もなのかもしれない。
俺たちがこんな最悪な状況に突き落とされる理由が全く見当たらないからだ。
だが俺は神などにすがる気はない。
「神なんかいない。いくら祈っても神なんて俺たちを助けてはくれない。信じられるのは自分だけだ。生き残りたいなら自分で生き残るしかない」
「……」
ベッドの上で体を震わせる水無瀬は迫り来る死に怯えながらも、懸命に生きようと痛みに耐える。
水無瀬は苦しみに耐える事から逃げ、苦しまない死を望んだ。
だがそんな選択肢は選ばせない。
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