六時間半目 オワリノハジマリ

23/42

1544人が本棚に入れています
本棚に追加
/571ページ
アタシは生存の枠に入り、後は終わりが来るまで隠れて待てばいい。 ただそれだけ。 ここを乗り越えればすべてうまくいく。 いつものベッドで目覚めて、大好きなお兄ちゃんと朝食を食べて、そして登校するんだ。 平和で幸せな日常がそこに待っている。 だから……。 怖くなんてない! その瞬間、アタシは大きな一歩を踏み出していた。 未来へ繋がる第一歩。 床を蹴り、自分の最大の速度で高瀬一樹に立ち向かう。 胸ポケットからカッターを取り出し左手に隠し持ち、右手にはハサミ。 アタシが走り出して自分の方へと近付いてきた事により、高瀬一樹は驚いたように目を丸くし一歩後ずさった。
/571ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1544人が本棚に入れています
本棚に追加