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アタシの首に食い込む細いヒモ。
なんとかそれを外そうと首に手を伸ばしてみるが、深く食い込んでいるそのヒモと皮膚の隙間に指が入らない。
「か……あ……」
「言ったでしょう?あなたは弱い、すぐに死ぬ事になると」
意識が遠退きはじめるのがわかった。
死が脳裏をよぎる。
このヒモを切らない限り確実に殺される。
視界が歪み始め、あっという間に死がアタシの傍らに忍び寄って微笑んでいた。
早くこっちへ来いと手招きしている。
「死んでいくという感覚はどうでしょうか上条さん?どういう気持ちですか?」
ハサミ……ハサミがあれば……。
手探りで周辺を探すアタシ。
その指が奇跡的にも求めていたハサミに触れた。
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