六時間半目 オワリノハジマリ

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このまま定刻まで誰も踏み入って来なければ、抽選者は目標を達成したか死んだかのどちらか。 いやしかし、そう考えるのはまだ早計か。 莉央の件には一樹が関わっている。 あいつは常に俺たちの先を突く算段を目論んでいるのだ。 何もかもを先に決めつけてしまうのは俺の悪い癖である。 もっと柔軟に、臨機応変に、それでいて誰よりも先を見据える思考がこの先不可欠だ。 「あ……あぁ……」 ベッドの上の水無瀬が体をよじらせ、声にならない声を漏らす。 「あ、綾芽ちゃん!」 「ちっ!」 出入り口のドアを注意しながらも水無瀬の元へ駆け寄る。 呼吸はマトモではなく、ヒューヒューと音を立てていた。
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