序章 カンキン

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どうして俺は学校にいるのだろうか。さっぱりわからない。 まさか夢遊病……いや、さすがにそれはないか。 真夜中に開いているはずのない学校に寝ながら忍び込むなんて、そんな器用な奴がいたら是非紹介してもらいたい。 なら、何が起きてるんだ? 「……?」 立ち上がりながらふと窓の外を見た俺は、不思議な光景を目撃した。 それはとても異様、夜の学校だからという理由を考慮したとしても説明がつかない現象がそこにはあった。 本来広がっているはずの窓の外の景色は、茶色く褪せた校庭が映っているはずだ。 たとえ夜だったとしても、月明かり、外灯、近くの民家の明かりが見えるのは、現代なら当たり前のはず。 だがどういうわけか、窓の外は『何もなかった』。
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