序章 カンキン

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背が小さい事にコンプレックスを持っているようだが、比較的明るい性格なのでそこそこ人気のある女子である。 「わ、わかんないよ……。気が付いたらここにいたんだもん……。もしかして桜庭クンも……?」 「そうだ」 どうやら彼女も俺と同じ境遇にいるようだ。 本当に何がどうなっているのか。 「で、でもよかったぁ……一人じゃなくて……」 「……」 内心は俺も同じ気持ちだったが、それを口には出さなかった。 大柴を不安がらせない為だとか、そんなカッコイイ理由ではなく、とある可能性が頭に浮かんでいたからだ。 「大柴、誰か他の奴には会わなかったか?」 「ううん、桜庭クンが初めてだよ」 「だろうな」 先程の彼女の口ぶりから見てもその答えが返ってくるのは予想していた。 「さっきどこからか叫び声が聞こえて、それで慌てて走ってきたの」
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