這いよる違和感

4/13
前へ
/45ページ
次へ
校門の前には、ももかと楓が立っていた。 どうやら待っていてくれたようだった。 ももか「おっはよー!今日も天気がいいね!」 明るく元気な、岸部ももかは今日もハツラツとしている。 楓「おはよう二人とも」 見た目は少し大人し目の歌姫、藍沢楓は凛として佇んでいた。 おはよう、と男子二人も朝の挨拶を交わす。 ももか「ねぇ、聞いた?また殺人起きたんだって」 今話題沸騰中の話をももかが口にする。 陽一「あぁ、それね。朝っぱらからうるせぇよな」 邪見し始めた陽一は、呆れて言う。 楓「本当に物騒だね。今日はマネージャーが送るって朝から慌てて電話してくれたよ」 どうやら彼女も参ってるようで、やや苦笑いだ。 もちろん断ったけど、と付け足しの言葉を添えて。 こう見えて彼女は強いのだ。 まぁ、そういう世界に足をしかも両方を突っ込んでいるのだからそれくらいは当然かもしれないが。 稜紀「まぁなんだ。こんなところで立ち話も疲れるし教室に行こうか」 さすがに時間ギリギリまで校門で立ち話するのはつらい。 ナイス提案と言わんばかりに、ももかが早歩きで下駄箱へと向かう。 それを先導に三人も遅れをと取ってついて行く。 ズキンッ! 下駄箱を付近にして稜紀の頭痛が一瞬甦った。 稜紀「痛ぅ…」 頭を押さえる動作を自然としてしまう。 たった一回だけ、痛みの波が押し寄せてきた。 稜紀(どうしたんだ…?なんだか嫌な予感がする) 不安からくる動悸と、頭痛のからくる苛立ちで眩暈がする。 が、少し時間が経つとおさまった。 どうやら突発性のものらしかった。 楓「おーい。どうした稜紀君?具合でも悪いの?」 近くにいた楓が近づいてくる。 稜紀「い、いや何でもないよ。少し、頭が痛いんだ」 徐々に痛みは和らいでいき、動悸も眩暈も引いていった。 楓「保健室行く?」 顔を覗きこみながら彼女は心配する。 大丈夫、の一言で稜紀は足を動かした。 楓も彼の横に付く。 痛み、眩暈、動悸は治まった。 だが、彼の嫌な予感だけは拭えなかった。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加