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少しよろめいてしまったが、何とか下駄箱に到達した。
その時にはもう殆ど痛みは消えかかっていて、気持ちも落ち着いてきた。
楓「もしよかったら保健室について行こうか?」
心配してくれているが、稜紀は首を横に振る。
突発的な頭痛なのだが、薬は一応念のために家から持ってきている。
気を付ければなんとかなりそうと、心底に思うのだった。
そして、どうこうしている内に彼らの教室に到着した。
昨日と何ら変わりなく、高校生らしく賑やかなクラスなのだ。
が、まぁしょうがないと言えばしょうがなく、話題は例の事件で持ち切りなのである。
ももか「まぁしょうがないよね。これだけメディアも騒げば誰だって話題の中心にもなるよ」
陽一「だなぁ」
以外にも、ももかと陽一も中々うんざりしていた。
その喧騒の中で一人、窓際に座っている少女に目が行く。
彼女の名は、有栖川雪奈(ありすわが せつな)
普段から大人しく、メガネを掛けている少女だ。
小柄な彼女は、読書が好きなのかよく本を読んでいる。
それ以外は一切不明。
と言うか、誰も知りたがらない。
一説によると、彼女のお家柄は素晴らしく令嬢なのではという噂まである。
そんな彼女は、こんなにも賑わっているクラスの中で自分の机で読書にふけっていた。
ももかと、陽一はお互いに別々の友達のところへ混ざりに行ってしまった。
楓は、スケジュール表で自分の日程を確認している。
稜紀は、朝のこともあったのか自分の机に座り有栖川を見ていた。
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