這いよる違和感

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浅い眠りだったので、頭はいい感じに冴えている。 今朝の頭痛などの片鱗もなくいたって健康状態。 時間も時間で、お腹がすいた稜紀は適当に冷蔵庫にあるものから野菜炒めを作り出した。 あとは、風呂に入って宿題をして寝るだけだ。 テレビもいつの間にかニュースから、お笑い番組へと変わっていた。 食事が終わって、風呂を沸かすスイッチをリビングから操作をする。 ボタン一つで湯が沸くというから最近のはとても優しい。 手軽で時間短縮にはもってこいだ。 空いた時間で、歯を磨く。 少しすると、風呂が沸いたことを知らせてくれるメロディが流れた。 かけ湯をし、湯に肩までどっぷりつかる。 神代家、というか彼の家の入浴場は一人暮らしに対して少しばかり広い。 浴槽も足がゆっくり延ばせてまったりできる使用だ。 だが、やはり一人では心寂しいのが今の現状である。 体を洗い、風呂から出る。 髪の毛を乾かし、コップに一杯の牛乳を入れて一気に飲み干した。 乾いた喉には心地よい冷たさである。 そして、リビングの電気をすべて消し自室へと戻った。 学校の宿題もすべて終わりふと、窓辺に立つ。 街はところどころ暗いが、ビル街や商店街などはまだ少し明かりが残っていた。 とても幻想的なのだが、今この時間にもしかしたら誰かが殺されているかもしれないと考えてみるとなんとなくそれは他人事ではないような気がした。 いつだって、人を殺すのは人で理由など理由にすらならない。 そして、自分はソレに巻き込まれないと思っている。 しかしなぜだか、神代稜紀にはそれが他人事には思えなくなってきた。 少しして、考えてもまとまらないのでベッドへと深く潜りそのまま寝てしまった。 街はまだ少し明かりを残している。 光あるところに影は存在する。 影はゆっくりと、夜の街を侵食していた。
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