ある夜のこと

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いってきます。 玄関のドアを開けると、珍しく陽一の姿は見えなかった。 家の門で待っている姿は見えずどうやら今日は遅刻か欠席からしい。 少し心配になり、携帯でメールを打つ。 今日は一人で登校することにした。 --------- 学校付近の坂で後ろから声が飛んできた。 「おはようっ!」 振り向くと、元気なももかが立っていた。 稜紀「おはよう。今日も相変わらず元気だな」 挨拶を済ますと、二人は並んで歩き始める。 ももか「あれ?今日は陽一と一緒じゃないんだ」 と、ようやく気付いたももかは驚いた顔をしていた。 稜紀「あぁ、珍しいもんだ」 微笑しながら言う。 ももか「遅刻かな?風邪は引かんでしょ。バカだし」 ばっさり言う。 真顔で。 ははは、と苦笑いする稜紀を見て話題を変える。 ももか「そ、そう言えば例の事件。今日のニョ、ニュース見た?」 噛みながら言うももかは少し可愛かった。 稜紀「昨日は誰も被害者が出なかったみたいだな」 とりあえず知っている情報しか言えない。 安易に変なことはしゃべれなかった。 ももか「うん。もうそろそろ事件解決かなぁ」 うーん、と唸りながらももかは悩んでいた。 稜紀「そうだといいけどな。早く犯人を捕まえてほしいよ」 切実な願い。 あの夜のアレは夢であってほしいと願うばかりだ。 ももか「だよねぇ。昨日あんなこと言っちゃたけどよくよく考えてみるとめっちゃ怖いよね」 そうりゃそうだった。 なんせ相手は人を何人も殺してきたんだから。 捕まえるのは専門のプロに任せた方がいいだろう。 もうそろそろ校門付近だった。 すると校門手前に楓が立っていて、稜紀とももかに気が付いた。 楓「おはよう二人とも。陽一君はお休み?」 珍しいな、と言わんばかりの顔だった。 ももか「おーっす。そうなんだよ、バカなのに風邪ひいたかもしれないんだよ」 真顔で相談する彼女は強い。 そう確信した稜紀だった。
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