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子供がいました。その子供は新しい自転車が欲しいと思っていました。けれど、親にねだっても買ってはもらえませんでした。
「あーあ。自転車がほしいな」
子供は呟きました。そんな学校の帰り道、道ばたにあの石が転がっているのを見つけました。
石の話を友達から聞いていた子供は石を拾うと、願いました。
「ボクに新しい自転車をください」
石を握りしめて願いました。
すると、石がコトコトと動き出しました。子供の手を払うように暴れて、手から離れます。
初めは、てのひら収まるぐらいの大きさしかなかった石でしたが、子供の手から離れた途端、大きくなりだしました。大きく、大きくなり、その形を変え子供の目の前で、願った通り、今まで見たことのないデザインの自転車になりました。
元は石だった自転車に子供は触れてみました。それが、本物であることを知ると、子供は声を上げて喜びました。
これは、きっと欲しいものをガマンしてきた自分に神様がくれたプレゼントなのだと思いました。
ですが、それは最初の内だけのことでした。確かに、デザインの新しい自転車に石はなりましたが、すぐに流行は変わり子供は自転車に飽きてしまいました。
そして、自転車が少し壊れたのをキッカケに子供は自転車を捨ててしまいました。
捨てられた自転車は役目を終え、元の石に戻りました。
自転車が壊れたせいでしょうか。石は少し欠けて前より少し小さくなっていました。
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