ふしぎな石

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 お腹を空かせた人が歩いていました。彼はお金もなく、何にも食事をしていません。  このままでは、自分は倒れてしまう。そう思いましたが、彼は何もできませんでした。彼の足にに何かが当たりました。あの石でした。  何人もの願いを叶えていくうちに、小さくなり親指ぐらいの大きさになってしまった石が彼の足下に落ちていました。  彼はそれを、食べ物かと思い拾いましたが、すぐにそれは石であることが分かり、ガッカリしました。 「何だ。ただの石コロか。これが、食べ物だったら、どんなによかったか」  彼は石を見て呟きました。  すると、石はコトコトと動き出しました。何事かと、彼は驚き石を手放しました。  彼の手を離れた石は形を変え始めました。黒っぽかった表面が真っ白になり、彼が見ている前で、湯気が立ち上るいかにも美味しそうな、おむすびになりました。  彼は石がおむすびになったことに驚きましたが、そこから漂う美味しそうな匂いにたまらず一口、食べてしましました。 「おいしい・・・」  おむすびは、何の問題もなく食べることができました。お腹が空いていた彼はあまりの美味しさに、あっという間に、おむすびを食べてしまいました。  おにぎりを食べた彼は予想もしていなかった出来事に感謝しました。  そして、元気になり足取りも軽く歩いていきました。  もう、道にはあのふしぎな石は落ちていません。
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