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―!
そりゃ志保奈も言いたくないよな。
「ほら、出身地言ったってわからないだろ?」
「それでも、出身地くらい知りたいよ、しほ結局教えてくれなかったし。教えてくれたら遊びにもいけるよ?」
今なんか遊びにこれる状況じゃない。
あの志保奈でさえ言うのをためらった、あの大惨事。軽々しく他の人に言うものじゃないだろう。
こう答えるしかない。
「悪いけど、今は言えない。言うときになったら言うよ」
その言うときっていつなのかは俺にもわからない。きっと志保奈にもわからないだろう。本当は言わない方がいいのかもしれない。
「…うん、わかった。久保君が嫌なら言わなくていいよ。言うときになるまで私待ってるから」
姫川原はまっすぐした眼で俺を見つめていた。こんな真剣な顔にもなるんだなコイツ。
ベシッ
「いたい。なんでデコピンするの」
「ほら、志保奈の誕生日プレゼント買いに行くぞ」
そう言って駅を出て、都会の街並みを歩いていった。
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