:迫り来る影

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「なんだよ……。顔が赤くなったことと関係あったりして?」  中川と呼ばれた体格の良い少年は、瑠巳に問いかけると同時にクスクス笑った。 「うるせえ。ーーこのガッチリデブめ!」 「なんだと? ろくにサッカーも出来ないくせに」  別にデブではない。プロレスラーの様な体格だからそのように呼ばれているだけだ。しかし瑠巳がサッカー出来ないのは図星のようだ。顔が引き吊っている。 「黙れデブ!」 「黙れタマ無し!」 「は? タマは付いてるし!」  二人が火花を散らしていた。すると右側の生徒が話に割り込んできた。 「ちょ、ちょっと本郷ちゃんも中川君も喧嘩は駄目だよ」 『んああ!!』  瑠巳と中川は右側の生徒にキレる。だが…… 「本郷瑠巳、中川刀志、片原龍騎の三人は昼休み職員室に来なさい!」  三人に向けた先生の顔は恐ろしい顔をしていた。三人は「はい」と頷く事しか許されなかった。
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