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「瑠巳くん……」
絵里菜は涙を溢し、瑠巳の肩に抱きついた。瑠巳はそっと絵里菜の頭に手を添え優しく抱き返した。
絵里菜が泣き止むまで時を忘れ抱いていた。
絵里菜は気分の落ち着きを取り戻すと顔を上げた。だがその目には瑠巳が倒したはずの白い魚人が悠然と起立していた。
叫ぶ絵里菜ーー
絵里菜の反応に瑠巳は振り返る。白い魚人の手は既に瑠巳に迫っていた。
その時、迫り来る魚人の手が宙に弾かれる。
「メン、ドー、コテッダァー!!」
弾いたのは中川だった。手には竹刀が握られている。
頭部、側腹、手、顔面の各部に白い魚人は打撃を食らう。再び、机の山に体を埋めた。
「中川どうして」
「お前を一人で行かせられっかよ。それに友は友を守るもんだ。それが本当の友だ」
中川はクサイフレーズをさらりと言った。危機を回避出来たのは中川の助けがあったからだ。瑠巳は感謝した。
机の山がモゴモゴと動き白い魚人は起き上がる。
「なんだよコイツは」
瑠巳は絵里菜の手をとった。そして三人で走りだした。
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