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中川と片原が駆けつけた時にはずっと下の地面に赤い血が溢れる小さな体になっており、白い魚人も瓦礫に埋もれていた。
瑠巳はそれを確認する。直後彼は発狂しだす。
「絵里菜、絵里菜、絵里菜……絵里菜!!」
怒りのこもった小さな拳が崩れかけの校舎に向けられた。
やがて殴り付けたヶ所に赤い染みができる。握り締め振り上げた拳の隙間から血が飛び散り、中川の頬に付いた。
殴り続ける瑠巳の拳を中川が掴む。
「放せよ中川……」
行き場のない怒りを映した眼を中川に向ける。だが中川は睨み返すだげで拳を掴んだままだ。
「放せって言ってんだろ。今の俺は何を仕出かすか分かんねえぞ!!」
「今のお前に何ができる」
中川が言い放った。
空いている側の瑠巳の拳が中川の頬に当たり鈍い音が響く。それでも中川は拳を掴む力を緩めようとはしなかった。
瑠巳は更に乱れ中川の顔面をもう一度殴った。
その時中川の眉がつり上がりようやく口を開いた。
「絵里菜は死んだ受け入れろ。そうするしかないんだ今は。いつ誰が死ぬか分からないこの場で人の死をいちいち悲しんでいる暇はないんだ」
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