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説教する中川に瑠巳は再び拳をふり放つ。中川は握っている拳をやむを得ず放しそれを避ける。同時に拳を瑠巳の発狂した顔面に叩き込む。
「お前だげが発狂しそうになっているんじゃねえんだ。俺だって片原だって現状を理解してないし恐いんだよ」
「中川くん、やめなよ」
怒りを露にする中川の前に片原が割って入る。
「だけどな……」
「中川くん!」
まだ怒りを収めきれていない中川に片原は声を張り、瑠巳の方に目を向ける。
そこには仰向けに転がり腕を顔に被せて泣いている瑠巳の姿があった。中川は少し悲しそうな顔をした。
落ち着きを取り戻した中川は瑠巳に近づいて立たせようとしたが立てる様ではなかった。
ふうとため息をつき中川は片原を呼び寄せた。
「瑠巳を背負うから背中に乗せるの手伝ってくれ」
中川は片原に手伝ってもらい瑠巳を背中に乗せた。目の前に視線をやるとドアの上方にEXITと書かれた緑色の物が光っている。
「やったあ非常階段だ。あそこを降りれば外の空気孔に戻れる」
喜ぶ片原に中川も笑みを溢してしまう。瑠巳を背負ってはいるものの、中川は力持ちなので廊下を小走りで駆け抜ける。
ーーあとわずかの所だった
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