:迫り来る影

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 瑠巳の耳にもその叫び声は入ってきた。 「やめろ……」目から涙が溢れる。弱々しい声はけっして白い魚人の耳に入る事はなかった。ましてや言葉が通じるか事態わからない。  白い魚人は片原に近づき馬乗り姿勢になる。ニヤッと笑う白い魚人に片原は睨み返すが、白い魚人が肩の矢を強引に抜いた途端に悲鳴に変わった。 「やめろ……」もう一度瑠巳は頼んだ。だが小声であるためかやはり白い魚人には聞こえていない。  白い魚人は抜き出した矢を再び差し込んだ。片原の目があまりの痛みに見開く。悲鳴が更に大きくなった。  白い魚人はその反応に嬉しそうに笑いもう一度抜く。片原は壊れる様に叫び続ける。それが幾度も続いた。 「やめろ……やめろ」片原を助けようと、瑠巳は立ち上がろうとするが足が言うことを利かない。その間にも片原の肩には矢が抜き差しされている。 「動け……俺が助けないと」  その時、片原の悲鳴が勢いを無くした。目が白目を向いている。白い魚人は不思議そうに抜き差しを行うが片原は応じない。
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