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「おい片原、しっかりしろ」
中川が顔をあげ声をかける。しかし形原は反応しない。
白い魚人は首を傾げ考える素振りをみせる。すると不意に思い付いたような反応をした。
矢を片原の腹部の上に持っていく。次の瞬間勢いよく降り下ろす。
片原の体は電気ショックを受けた様に跳ね上がった。目は焦点をなくし上下左右に揺れる。
そして口からは血が流れ肩から流れていた血と混ざり床がより赤く染まった。
息をなくす様に片原は動かなくなり目を閉じた。
瑠巳と中川は目の前で動かなくなった片原を見つめ顔が青ざめる。死という言葉が瑠巳の中で反復した。
「やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ!!!」
瑠巳の目に怒りが籠る。目が充血している。
白い魚人は瑠巳が憤怒しているのにも関わらず片原が動かなくなったのを不思議そうに見つめ、もう一度矢を握った手を振り上げた。
反射的に瑠巳は立ち上がり声をあげながら走り出した。
白い魚人は降り下ろそうとするが瑠巳に気付く。しかし遅かった。
瑠巳は白い魚人を前に腕を思い切り後ろに引き、一直線に拳を突き出した。
その時だったーー。
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