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瑠巳の拳は青い炎を灯し辺りに光を撒き散らしながら、白い魚人の顔面にその炎を殴り付けた。
耐えきれず白い魚人は燃え盛る炎に包まれたまま吹っ飛ばされ静止した。
瑠巳は自分の手を見返す。既に炎は消沈していたが確かに自分の手から炎が溢れていた。
「……瑠巳、今のは何だよ」
中川が右手を庇いながら立ち上がり言った。
正直今の瑠巳には自分の手に炎が点いたとしか言いようがなかった。
「俺にもわからない。ーーただ言えるのは俺の手に炎が宿った。それは俺だけじゃなく中川も見たということ」
『片原!!』
二人は同時に振り返った。片原の元に駆け寄る。血が床に広がっていた。
「おい、しっかりしろ!!」
瑠巳が呼び掛けるが反応はない。心臓に耳をあてる。ほんの少しだが心臓の音を感じられた。
「生きてる」
瑠巳の目から涙が溢れた。
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