8人が本棚に入れています
本棚に追加
すぐさま瑠巳は目元を拭った。片原の上半身をそっと起き上がらせる。そして瑠巳の首に手を巻かせ立ち上がる。
「片原を背負うだけで精一杯だ。すまない中川」
「骨折なんて慣れてらあ」
三人はEXITと書かれた非常階段に向かって走った。通りすがりに白い魚人を横目で見たが頭はなく、全身もボロボロになるまで燃え付いていた。
ドアを開け出来るだけ速く階段を降りる。瑠巳は片原を背負っているため転んでもおかしくない足取りだった。先程の炎の影響かもしれない。
瑠巳の意識が遠退き始めた。視界が霞む。意識が遠退く中、遂に足元に段がなくなった。
目の前のドアに手を掛ける。隙間から吹き込む風が異様な程気持ちよい。
向こうから白衣を纏った人影が向かって来た。
『報告とは異なるが子供達を保護。現状ではエネルの使い手を認知不能』
白衣の人影は誰かに報告しているようだった。
「早く片原を……早く……早く」
瑠巳は遂に意識を失いその場に倒れた。
最初のコメントを投稿しよう!