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そのまま鉱石を牛乳の注いであるグラスにチャポン!と入れた。老婆は牛乳を冷蔵庫へ片付けに行った。
グラスの中が次第に黄緑色(エメラルド)に変わっていくーー。
その時、準備を終え制服に着替えた瑠巳と呼ばれる少年が部屋から出てきた。そのまま食卓へ行き、グラスを持ちグビッと勢いよく飲み干す。
ーーその直後、体に違和感を覚える。ピリピリとした衝動が胃から全身に浸透していくのが分かる。だが、すぐさま納まった。
「ばあちゃん、何か入れたろ?」
「いいや。何も入れてないさ」
ーースッカリ忘れているようだ。
瑠巳はバックを肩に掛け、制服の端を引っ張る。強く伸ばし皺を無くす。
皺が伸びたのを確認し、玄関へ走る。
「じゃあ行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」
瑠巳は玄関を飛び出した。だが再び扉を開ける。
「ばあちゃん、寝るとき以外は眼鏡を掛けないと駄目だよ。ほとんど見えてないんだから事故とか起こったらどうするの?」
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