桜と光

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緑溢れるここは何処にでもあるような公立の中学校。 勉学に勤しみ、部活動に励む…。 そんなありきたりなスローガンの元、この中学校は成り立っていた。 そう言えば、愛羽中学は創立100年以上の歴史ある学校だって校長が言っていた。 でもぶっちゃけどうでもいいよね、そんな事。 だって歴史がどうであろうと僕に関係ないもん。 僕 の名前は灰原 白桜。 この中学校に通ってるんだ。 「…で、この問題はまず最小公倍数を……」 今は数学の授業中。 教科書の問題を解説する先生に必死になってノートをとる生徒。 僕は書く気なんてさらさら無いけど。 先生の解説を右から左に聞き流し僕は机に伏せる。 すると直ぐに睡魔が僕を襲い、夢の国へと旅立って行った。 ****** 「…ん…」 ふと目が覚めると辺りは既に薄暗くなっていて、急いで飛び起きる。 「ヤバい!マジ寝してた!!」 青葉の事だからきっと心配してるに違いない。 鞄に筆箱と数冊のワークを入れ教室から飛び出した。 え…?教科書忘れてるって?要らないよそんなの。 僕基本置き勉だし!重いだけだし! 「現役中学生の体力舐めんなよぉぉぉぉぉお!!!」 自転車でのペダルを力一杯に踏みしめ、勢いよく坂道を駆け上がる。 僕の家は山の上にあるからどうしてもこの急な坂道を登らなきゃいけないんだよね。
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