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「聞き込み中、ツッコミがなくて寂しかったよね」
「アレンったら、すぐ寝ちゃうから」
そんなことを言う仲間達を溜め息で流し、アレンは窓辺に肘をついてうなだれた。
まだ頭が完全に起ききっていないらしく、気を抜くとついぼんやりとしてしまう。
「散歩ついでに情報探してくるか……」
アレンは小さく嘆息しながら、ガタリと椅子を引いた。
「ヨウスケ、あんたも行ってきなさいよ。アレンの食料の調達しに行くんでしょ」
「え、それ冗談じゃなかったの」
イディアの言葉に、ヨウスケは濁点つきで情けない声を漏らす。
「そうだな。ヨウスケに食われた分、市で何か奢ってもらうか」
「アレンさん、豆料理が良いですよ。豆料理」
「お前豆料理好きなの?」
再び会話の盛り上がる空気から抜け出し、アレンはドアノブに手を掛ける。
「あ、アレン、これ着ていけよ。ちょっと寒いだろ」
ヨウスケがそう言いながら褐色の布を投げてきた。
反射的に受け取り、それがいつも身に付けているマントだと気づく。
そう言えば、ドアの隙間から漏れ出てくる空気が少し冷たい。
春先とはいえ、さすがに夕方には冷えるようだ。
マントを広げて羽織り、アレンは今度こそドアを開け、暗い廊下へと出た。
慌ただしく追いかけてきたヨウスケの足音を聞きながら、アレンは目立ちはじめた街の灯りと、反比例して明るさを消していく夕空を窓から眺めた。
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