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「……あれだ、ヨウスケ。『雑魚には必要以上の量の人間を食っていた。力をつけた魔物にあそこまで対応できれば寧ろ大したものだ』……って。キアが」
「……さすがね、アレン翻訳機」
キアがアレン以外の人物と言葉を交わすことは滅多にない。
少なくとも、契約してから今まで四人は一度も見たことはない。
「アレンさんはともかく、ヨウスケさん達だっていいじゃないですか。僕なんて魔物に対して何もやってないんですよ?」
ヨウスケの後を追うかのようにフィルヴィアが不貞腐れて呟く。
顔に張り付けている笑顔も、今はなんとも虚しいものが浮かんでいた。
「で、でもほらさ、フィルは魔物見つけてくれたじゃん!」
「そ、そうよ、お姉さんだって間一髪だったのよ。助けられたのはフィルが早く見つけてくれたお陰じゃない」
ヨウスケとイディアが二人懸かりで慰めている間に、アレンは数人の足音を聞いて路地を振り返った。
そして、平和な会話を続けていた仲間達に声を掛ける。
「ところでお前ら、本当にご近所が起きてきたみたいだぞ」
責めるべき相手であるキアは、いつの間にか気配も無く姿を消していた。
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