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宿屋から、旅人らしき四人の若者が路地に出てきた。
主人であるらしい中年の男性は頻りに頭を下げて、彼らが見えなくなるまで外で見送っていた。
「……良かったわねぇ、お姉さんも赤ちゃんも無事で」
「街を挙げての魔物退治の依頼でしたから、中々懐も暖かくなりましたしね」
「それにしても驚いたなー。まさかあのお姉さんが豆屋の親父の奥さんだったとは」
「……まあ…豆屋の親父に泣きながら礼を言われた時はどうしようと思ったがな……」
「いいじゃないですか、感謝してもらって」
「納豆も貰えたしな!!!」
「え、ちょ、お前いつの間に!!?」
「いいわね、食料に困らなそうじゃない」
「俺は死んでも食わないからな……。いいから、次の街に行くぞ」
「アレン、その前に豆料理パーティだろ!」
「どこかいい店探して、ついでにこの高い茶葉で紅茶も淹れてもらいましょ」
「アレンさん、約束忘れてませんよね?」
「お前ら、本当に食い意地張ってんな……」
澄んだ蒼穹に賑やかな声が散ってゆく。
今回の報奨金が豆料理店でほぼ底を尽くことになるのは、もう少し先の話。
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