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背後でドアがバタンと閉まった。
「……こうしたいから」
アップにされた黒髪から覗く、白い耳に唇を寄せ、耳朶を食む。
そのまま首筋を唇でなぞり下り、見上げればその耳はほの赤く染まっていた。
「陛下……」
腕を緩めるとリリコが振り向く。
その赤い唇を吸い取るように音を立てて啄ばむと、体を震わせ、そっとタキシードの前身ごろを掴んできた。
揺れる瞳がゆらりと熱を孕んでいる。
視線を捉えたまま唇を合わせると、じわりとリリコの睫毛が濡れた。
目尻をちろりと舐めると、微笑んで目を伏せる。
睫毛の落とす影が艶やかで、アムスタッドは額に頬に鼻にといたずらに唇を這わせた。
掌にまとわりつくドレスのシルクが、その下の肌への想像を掻き立てる。
そっと背中に手を這わすと、吸いつくように滑らかな肌の体温が直接触れた。
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