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「……そんなこと、全然ない」
「うん」
片手を頬に置いたまま、親指でさするように撫でる。
「まだ足りない?」
顔を近づけると自分から唇を寄せて来た。
静かに唇を合わせ、見詰め合う。
「触れ合っているときはこんなにも満たされるのに……離れた一瞬で、もう寂しい」
息苦しいほどの切なさで涙を滲ませたリリコに、アムスタッドは胸を突かれる。
「……そんな風には見えなかった」
「みんな……優しかったから」
リリコは微笑んで、こてんと額をアムスタッドに打ち付ける。
「みんな……とても気遣ってくれたわ。それも、とても自然に」
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