Separated Days

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ハアッと重苦しい溜め息をついて、額に手を当てる。 ……せっかく顔を見られたのに、これではいけない。 そう思って渋々顔を上げれば、見たくない顔が彼女のすぐ傍にあった。 「打ち合わせがあるから、20分だけな」 「うん、ありがとう」 彼女の肩にストールを掛け、微笑む。 今度こそは出ていったようだったが、奴に見せた彼女の親しげな微笑みが胸を突いた。 「……時間がないなら、今日はよすよ」 「待って!」 慌てて引き留める彼女に、そうして欲しかったはずなのにイライラが募る。 「君も彼と話している方がいいだろう」 子供じみた嫉妬だと分かっていた。 彼女に自分だけを見て欲しい。 自分だけに微笑んで欲しい。 彼女の愛情を些かも疑いはしないのに、行き場のない焦燥で胸を掻き毟られる。 今夜はどうしようもない。 頭を冷やすべきだと、自分でもそう思い、ネットワークを切ろうとした。
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