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「もう切る」
それだけ言って、プツリと暗転したディスプレイ。
それを見るやいなや、リリコは脱兎のごとくアトリエを飛び出した。
「リリコ? どうした?」
ダイニングで待っていたクロードに声を掛けられたのにも気づかない。
異変に気づいたクロードが体格差を活かしてどうにか玄関で押しとどめた。
「お願いッ! 行かせて!!」
「どこに? まさか、あいつの所に行くのか」
「今行かなくちゃいけないの! どうしても……」
もがくリリコはクロードに半ば羽交い締めされるようにして、ドアから引き離される。
「お願い……ッ!!」
どれだけ暴れても、どれだけ叫んでもクロードに抱き抱えられ、遂にリリコは力なく座り込んだ。
「……お願いッ……」
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