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「どうやら限界のようですね」
その夜、ラムノスは自室でパソコンを開いた。
画面の向こうには疲れ切ったクロードが映っている。
「俺もあんな状態のリリコの傍にいるのは限界だ。早く連れて行ってくれ」
溜め息を隠そうともせず、クロードは髪を掻き上げる。
痛ましさを覚えながらも、ラムノスは淡々と話を進めた。
自分と同じ種類の男だ。
それが目の前の彼のためになると知っていた。
「挙式は私の方が先になりましょうが、リリコ様には早々にこちらで暮らしていただきましょう」
「だが、来シーズンのショーは必ず予定通りにやるからな」
「発破をかけるのは、あなたの仕事。精神的に落ち着けば仕事も進みましょう」
ああ……と呻くようにクロードが頷く。
それを見て、ラムノスは薄らと笑みを浮かべた。
「お互い難儀なものですね」
「お前は幸せだろ」
恨みがましそうな視線は、申し訳ないが受け流させてもらおう。
「苦労比べなら負けませんよ」
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