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「じゃあ、どうしよう?」
「そうだな。……ラムノスは?」
私はキョトンと目を見張った後、兄の背後に身を潜めるように、そっと立っているあなたを覗き込んだ。
「えー?」
思わず正直な不満が零れる。
私の知っている僅かな世界の中に、まだたった4人しかいなかった子供のうちの1人だから、もちろん知っている。
いつも下の兄と行動を共にし、上の兄に付き従い、髭の長い老人と分厚い本を読み合う影の薄いあなた。
キラキラと天子たる威厳の欠片を見せる上の兄や、活発で聡明な下の兄や、華やかで優しいリディに比べれば、幼い私にはまるで魅力的ではなかった。
「ほら、ラムノス、何か言ってやれよ」
兄に押されるようにして、あなたが一歩前に出る。
7つも上とあれば、私から見れば大人と同じで、その静かな表情を遥か下方から見上げた。
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