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「しっかりなさい。あなた様は王女なのですよ。大丈夫です。陛下とお兄様は私がお守りします」
「いやよ。あなたがいなきゃ……」
その時、突如として私は気づいてしまったのだ。
そうだ。
あなたがいなかったら生きている意味が無い。
あなたのいない世界でなんて、生きていけないの。
「また後でお会いしましょう。お話はその時に。さ、早く」
「やだ!!」
「殿下……」
あなたは扉を無理矢理閉めようとしているのに、私が縋りつけば、たとえ一瞬でも必ず待ってくれるの。
だから。
「じゃあ、お願い! お互い生きてたらお願いきいて」
「ええ、何でもききますよ」
おざなりに会話を終わらせようとするあなたに細く叫ぶ。
「ラムノス、私をお嫁さんにしてくれる?」
扉の向こうに鋭い眼光が覗いた。
そこに揺れる焔は怒りかと思った。
それでも構わない。
私はそのささやかな光に必死で縋る。
「…………生きていたら」
交わす視線だけで、生まれてから今まで交わした以上の会話をした気がした。
あなたは何も言わずに視線を逸らすと、施錠をして駆け去った。
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