194人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんな訳ないよ。付き合ってない」
「だって、今。どうして」
瞳ちゃんが、目で慧の方を示す。
「先生に言われて、アンケート集計してただけだよ」
席が隣同士の私たちが指名されたというだけだ。
「なーんだ、そうなの」
愉快そうに笑って、瞳ちゃんが立ち上がる。
「二人きりでいるから、びっくりしちゃった。…あ、忘れ物取りに来たんだった」
といって、前の席の机からペンケースを取り出し
「じゃーね、慧」
手を振って、教室を出ていく。
なんだったんだ……
慧をみると、苦虫を噛み潰したような顔で、坊主頭をがしがしと掻いている。
私たちの話、聞こえたんだろうな
。
最初のコメントを投稿しよう!