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彼女がうなずいたから、僕は歩きだそうとすると、小鳥遊さんが僕の腕を引っ張る。
「ん? どうしたの?」
「………名前」
「ん? ああ、僕は榊原唯人〔サカキバラ ユイト〕。よろしくね」
「(こくん)」
小鳥遊さんはうなずくと、
「聞いた事ある名前」
「そうなの? どこかで会った?」
聞いてみると、小鳥遊さんは首をかしげる。
「………僕、一度記憶無くしたから、その前に会ったのかもね」
「唯人………?」
「ん?」
「なんか悲しそう」
「そうかい? 僕としては全然気にしてないつもりなんだけどな?」
そう言うと、僕は歩きだす。
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