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「愁・・・転入生、」
みんなが黙々と作業をしていると、南 裕樹ことヒロが愁ちゃんにそう言った。
「そうでしたね。確かレッドフライ・・・、でしたっけ?」
愁ちゃんは、ヒロの言葉を聞くとものすごーく嫌そうな顔でそう言った。
・・・愁ちゃん、嫌そうだな~・・・じゃなくて!!今何て言った!?レッドフライ!?何で!?
レッドフライとは、朔夜の俺に憧れているチームの1つなのです。
もう1つはブルードラゴンといって、生徒会の俺以外が入っているチーム。
せっかくの転入生で王道なのに~・・・てか、レッドフライの子がこれから生徒会に気に入られて総受けになっていくのか・・・・うん!そう考えたら何かいいかもっ!
「・・・聞いているんですか?沖田」
これから起こりうる出来事を考え、ニヤニヤしていた俺に愁ちゃんが気味悪そうに聞いてきた。
「へ?なに?」
「だから、貴方が転入生を迎えに行って理事長室に案内してください。」
「・・・え!?何で俺!?」
「遅刻したんだから当たり前でしょう。」
「やっ・・・無理だよっ!だって、レッドフライなんでしょっ?愁ちゃんが行けばいいじゃんかーっ!」
そうして、本当の愁ちゃんを見てくれる転入生に興味を持っていくんだよ!愁ちゃん!
「どうして私が?」
愁ちゃんと転入生の出会いを妄想していると、愁ちゃんが黒い何かを纏った笑顔でそう言った。
「だ、って・・・俺、一般人なんだよー!?だいたい、双子も来てないじゃんかーっ!双子に行かせたらいいじゃんっ!」
「真宮達は別の仕事でいないのです。だから、いつもサボっている貴方が行きなさい。」
「・・・でも~っ、」
「何か文句でも?」
「・・・・・・いえ、ありませぇん、」
愁ちゃんに勝てないと察した俺は、観念してしぶしぶ立ち上がった。
「・・・飛鳥、俺も行く?」
すると、俺の制服の裾を引っ張り首を傾げてヒロがそう聞いてきた。
何、この子!!可愛すぎデショ!?今すぐイケメンの親衛隊隊長さんに食われなさいっ!!
「だいじょーぶ、だよ」
俺はヒロを抱きしめたい衝動を押さえながら、ヘラヘラとみんなに手を振って生徒会室を出た。
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