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キール「貸本屋、『鈴奈庵』ねぇ……平成の次はどんな元号が付くかって話が話題の中心になりつつあるこのご時世に、流行る物かね?」
英奈「まぁまぁ……流行らなくても潰れないお店って言うのは、大概はお金持ちの道楽か……」
キール「知る人ぞ知る稀覯品があるって所か。」
英奈「一般にあまり知られて居なくて、お父さんみたいな仕事に就いてる人間が知ってるって事は……」
キール「後者、しかも『そういう系』の品って事か。」
英奈「っと、着いたわね。」
二人が見つけたのは、よく言えば昔ながらの、悪く言えば古臭い、小さな建物。軒先には暖簾が掛けられ、『鈴奈庵』と書かれている。
キール「事情が有るにしろ、外観、立地共に最低クラス、本当に商売してるのかねぇ。……ん?あそこに居るのは。」
華「ふぅ……なかなか癖の強い娘でした……」
キール「こんにちは。華扇さん。」
華「あら、貴方達は、英機さんの所の……何でこんな所に?」
英奈「お父さんにお使いを頼まれて、このお店に来たんです。そちらは?」
華「いえ、この店に関して妙な噂を耳にしましてね……噂は噂でしかなかったようですが。」
キール「……」
英奈「へー、そうなんですか?どのような噂なんですか?」
華「
あ、いえ、些細な事ですよ。それでは、私はこれで……」タタタタ
キール「……怪しいな、あの人も、この店もな。」
英奈「気にしてもしょうがないよ。さ、こっちの用も済ませちゃおうか。」
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