封護の里─日常─

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「そうだ…ガルル、この後の予定は?」 朝の和食をほんわか堪能していたら、ガルサゴが思い出したように切り出した。 「朝の巡回はもう終わったので、畑の手入れぐらいですね。」 今更ながら思うが、ガルルに敬語は似合わないな。 バカだから。 「そうか…なら、午後はゆっくり休め。」 「しかし、稽古はどうするのですか?」 「うむ、お前はまだ昨日の怪我が治っておらんだろう?それに、たまには休息も必要だ。 その変わり、怪我が治り次第、久々に稽古ではなく修行を行う。」 最初は僅かに綻んだ顔が"修行"の一言でみるみる青く染まっていく。 わざわざ、稽古と修行を言い替えて言っているぐらいだから、そうとうキツいんだろう…… 「ウェル殿…ご一緒にどうだろうか」 と、ガルルがオレを道ずれにしようと声を掛けてきた。 「え…!?あ、いや、でも、ガルサゴがやるんだから普通の修行ではないんだろう?なんか、封護特有だったり…」 「おお!さすが、鋭いな。ウェルの言う通り色を持たない封護だからこその戦闘の基礎となる修行だ!封護以外に教える訳にはいかない。」 ガルルは明らかに落胆した ほっ… ガルルのあの青い顔を見たら、とてもじゃないがやる気にはなれん! 「だが、ウェルは別だ。」 「ぅえ…!?」 ガルルは今度は花が咲いたような笑顔だ 「ウェルは我ら封護にとってかけがえのない友である。封護と夜風の間に隔てる物は何もない。 …どうだ?少しでもやってみないか?」 ナ、ナンダッテー!? いや、お気持ちは嬉しいですけれども!ガルサゴさん!あなたの修行ですよ!?キツくない訳がない!だが…!!この気持ちを無下に出来ない自分もいる!!…どぅする!?どぅするの!?オレ!? …~~~ッ!! 「やらせていただきます!あー!楽しみだなー!!」 ぅう゛~……悲しき己の性よ… 半分自棄になりながらも、快く(?)参加させてもらうことになった。
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