封護の里─日常─

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牢屋には、幻属性魔法を使っていた女が牢獄されている。 捕らえたはいいが何も情報を持っていないし、まったく持って使えない…が、こうして捕まえておけば"アイツ"が来るかもしれないってことで、まだ殺していない。 「おーばさん!元気?」 景気付けに笑顔で言ってみたが、ものすごく睨まれた… 「なあ、おばさん…"アイツ"来ると思う?」 「だからその"アイツ"って誰のことよ!!」 未だに黒い鎖に縛られているおばさんはこんな環境にイライラしているのか、いちいち声が大きい 地下だから余計に響くんだよなー 「"アイツ"はアイツだよ…あのエセ紳士……えーっと…名前はなんつったかな?」 えー……カイジ?メイジ? んー…と、なかなか出てこない名前を一生懸命模索していると 「酷いじゃない、ウェルくん!僕の名前を忘れるなんてさ!!」 なんか魔力を感じたと思ったらあのエセ紳士がいつの間にか後ろにいやがった。 「えっ…!?」 女はなんか驚いた様子で固まっている。やっぱり知り合いか? 「うるさい、名前なんかなんだっていいだろ?それより、コイツを助けに来たのか?」 エセ紳士は女を…まるでゴミを見るような目で一瞥すると 「『幻の心臓 ─ファントムハート─』」 女の胸から出る霧を右手の手の平に集めだした 「カイト様!!なぜ、で…すか…!?」 女はもがきながら鉄格子に張り付き手を伸ばす…その顔に絶望を張り付けながら 「何をしている」 ここでやっと、オレもシリアスモードに入らねばと目を細めて問い詰める
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