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「ふぃ~~~っ……っああ~…」
つい変な声が出ちまった
手紙なんて書き慣れてないから文脈もなんかめちゃくちゃな感じに仕上がった。
けどまあ、子供が書く手紙なんてこんなもんだろうけど……王都に帰ったらオレも学校行こうかな…オレの周りにはバカしかいないし、なんか将来不安になってきた。
コンコン「兄貴、入りますよー!」
この声はサムか?
おう!と返事を返すと部屋に入ってきたのは予想外なサムだった。いや、サムだってのは予想通りだったんだが、エプロン姿ってのは予想外デース。
「終わりましたか?あ、これ。紅茶持ってきましたんで、どうぞ。」
やはり気が利くサムにお礼を言ってコップを口に傾ける……甘い。まあ、疲れてるしいっか。
「って、何読んでんだよ!変態。」
バシッと、いつの間にか手に持っていた手紙を慌てて奪った。
「変態!?別に減るもんでもないし、いいじゃないですか。」
そうは言うがな、サム。顔がにやけてるぞ……
「人の手紙見てニヤニヤするヤツは皆、変態だ。わかったか?変態。」
「もはやオレの名前が変態に!?」
変態のツッコミを華麗にスルーし、さっそく王都へと手紙を転送する。
この手紙の封には、魔力ペンと呼ばれるペンで魔法陣が書かれていて魔力を流しながら『転送』と唱えるだけで王都の郵便局に届くという、素晴らしいアイテムだ。
生物の移動に使われる"転移"と違って、無機物の"転送"は簡単に出来るらしい。"転移"となると、また別次元の難易度になるんだとさ。
でも、やっぱり便利だし帰ったらブルに教えてもらおう。
やばいな…最近、帰ったときの事ばかり考えてる。不覚にもホームシックなりかかってるんだな……
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