道しるべ─第０話─

ん？

今日もいつも通り。起きて、飯食って、電車の中で人に揉まれて……女の人だったら嬉しいな。滅多にないことだけど。

そんなどーでもいいことを考えながら、出勤の準備をする。
朝食は冷えた味噌汁ご飯。今の暑い時季には大活躍する。

そして、歯を磨き、スーツをゆる～く着崩す。だって暑いし。

「いってきます」

返事がないただのしかばねのようだ。

「はぁ………つかれた…」

ため息混じりのあくびをしながら、帰路をとぼとぼとあるく。
今日はかなり忙しく疲れた。

ん？
空から何か危険な気配がするな……いかん、いかん、 疲れからか厨二病の名残が。
首を振って阿呆な考えを頭から取り除く。

そして、やはりなんとなく気になって上を見上げると。

なんか飛んできた。

…は？
訳ワカメだが、取り敢えず避ける。

ゴト!!

でっかいリンゴだった。
リンゴは空から降ってきたのにも関わらず、しっかりと原型を留めていた。

ｲﾔｲﾔｲﾔｲﾔｲﾔｲﾔｲﾔｲﾔｲﾔ。

「なぜに、リンゴが!?」

そして、こんどは避けきれない程大量なリンゴの雨が。

ゴト!!ゴト!!ゴト!!ゴトゴト!!!!

そして。

ゴンｯ!!…ゴト………どさｯ。