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一か月ほど前、別の学校の面識のない女子生徒だったが、その付近の空き店舗で多数の若い男に集団レイプされた。それだけでも女の子にとっては一大事だが、そのシーンがインターネットの有料動画サイトで売られたのだ。
表向きはアダルトビデオだったが、自分が複数の男にレイプされるシーンが録画されていて、それがまたネットで衆人環視の元に晒されたのだ。その被害者が気づいた時にはダウンロード回数は十万を越えていた。その女子高生は入院していた病院のビルの屋上から飛び降りて自殺した。
それほどではなくとも、ケンカ、無謀な車やバイクの運転、怪しげなスカウトと称する男たちの跳梁跋扈、この辺りの治安は乱れる一方だった。
加奈も裏通りに見えたハーブ店の看板に気づいて沙紀に問いかけた。
「あれ、どうして警察は黙って見てんの? 取り締まればいいのに」
「ああ、それ、あたしもちょっと調べてみたんだけどね。麻薬とかとほんのちょっと化学成分が違うらしいのよ。それだと法律的にクロとは言い切れなくてさ。法律を変えて麻薬と認定されると、またほんのちょっと成分を変えた物が出回って。その繰り返しみたい」
「違法、脱法、合法とか、そんなの言葉遊びじゃない。警察が何もできないっておかしいよ。ところでさ、沙紀」
「ん? 何?」
「なんでそんな事知ってるの?」
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