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「え?」
「ちょっと、またアレやったんじゃないでしょうね? 今度は保護観察じゃすまないわよ」
「あ、あははは……いや違うよ。アレは若気の至りってやつでさ。それに中学の時の事じゃん」
「余計悪いわよ! まだ中学生だったんだから!」
「分かった、分かってる。今回のはちゃんと図書館とかで調べた情報だから」
「本当? ならいいけど」
「それにしても、駅に行くにはどうしてもこの道通らなきゃいけないから、困るわよね。加奈は美人だから狙われそうだし」
「やだ! 脅かさないでよ。でもそうだよね。この道通りたくないからって転校するわけにもいかないし」
「それにしても、ハーブ店といい例の動画といい、どこの暴力団がやってんのかな? これじゃ暴力団対策法だっけ、あれが出来る前よりひどくなってるよ」
無事に坂を下りきり、人通りの多い一角にたどり着いたところで、加奈はようやく沙紀の腕から手を離した。四月初めの空は暖かく晴れ渡り、学校の制服のブレザーでは暑く感じられるほどの陽気だった。沙紀は加奈につかまれていた腕を、これみよがしにもう一方の手でもみながら言った。
「じゃあ、加奈お嬢様、本日のボディガード終了」
「ごめん沙紀。じゃあ明日もよろしく。あ、あたし、あの店に寄って行くから」
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