第一幕 裏渋谷

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「え?」 「ちょっと、またアレやったんじゃないでしょうね? 今度は保護観察じゃすまないわよ」 「あ、あははは……いや違うよ。アレは若気の至りってやつでさ。それに中学の時の事じゃん」 「余計悪いわよ! まだ中学生だったんだから!」 「分かった、分かってる。今回のはちゃんと図書館とかで調べた情報だから」 「本当? ならいいけど」 「それにしても、駅に行くにはどうしてもこの道通らなきゃいけないから、困るわよね。加奈は美人だから狙われそうだし」 「やだ! 脅かさないでよ。でもそうだよね。この道通りたくないからって転校するわけにもいかないし」 「それにしても、ハーブ店といい例の動画といい、どこの暴力団がやってんのかな? これじゃ暴力団対策法だっけ、あれが出来る前よりひどくなってるよ」  無事に坂を下りきり、人通りの多い一角にたどり着いたところで、加奈はようやく沙紀の腕から手を離した。四月初めの空は暖かく晴れ渡り、学校の制服のブレザーでは暑く感じられるほどの陽気だった。沙紀は加奈につかまれていた腕を、これみよがしにもう一方の手でもみながら言った。 「じゃあ、加奈お嬢様、本日のボディガード終了」 「ごめん沙紀。じゃあ明日もよろしく。あ、あたし、あの店に寄って行くから」
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